鶴見祐輔伝 石塚義夫

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 はしがき

「鶴見祐輔?知らないなァ」
「鶴見俊輔の間違いじゃないのか」
「ああ、鶴見俊輔なら知ってる。哲学者で、小田実とともにベ平連の指導者だった人だ」
「その鶴見俊輔の父だよ。社会学者鶴見和子の父でもある」
「そうか。それで簡単に言うとどういう人なんだい?」
「政治家で、著述家で、雄弁家。英語演説の達人で、新渡戸稲造の愛弟子で、ともに“太平洋の橋”になろうと努力した人だよ」
「いつ頃の人なのかね」
「明治18年に生まれて、昭和48年に88歳で死んでいる」
「政治家だったというと、大臣等になったことがあるのかい?」
「昭和15年に米内内閣の内務政務次官、昭和20年に日本進歩党の幹事長、昭和29年に鳩山内閣の厚生大臣になった」
「著述家でもあるとのことなのだが、主な著書はどんな本かね」
「ベストセラーになった本は、『英雄待望論』と小説『母』。後世に残る本としては、『後藤新平』全4巻と訳書『プルターク英雄伝』全6巻だろう」
「近親や友人で有名な人は?」
「岳父は後藤新平。加藤シヅエは姉の子。師は新渡戸稲造。親友は池田長康、前田多門、河合栄治郎」
「新渡戸稲造は、五千円札の肖像画になったから知っているが、あとの人たちは知らないなァ」
「まあ、鶴見祐輔の生涯を知れば他の人たちについても一緒に知ることができるよ」
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